小熊英二、上野陽子 / のナショナリズム(慶應義塾大学出版会)



平明な文体で、保守の運動と革新の運動に共通する動機を指摘する爽やかな一冊。
景気がよいと日本人は思想信条うんたらかんたらと言わないけれども、金回りが
悪くなったり、世の中の進歩発展が停滞すると、何か「神」(信じるもの)がほしくなるのだなあ、という。
出生率が下がって外国人労働者がもっと増えるようになると、日本で生涯を終える
外国人も多くなって、福祉の現場でも外国語が必要になったりするかしら、などと思ったり。


いまってけっこう自衛隊イラク派遣(派兵といわないところが慎重にポリティカルね)に伴うテロの危険性で、
ファシズム&排外な気分が広がってもおかしくないような雰囲気だけれども、どうなるんですかねこの先。
アメリカの対日戦略ってのはどーなってるのか。自衛隊を国軍に改組して、在日米軍を減らしてやれとか、
そーいったもくろみはあるのだろうか、という。そういうでっかい話って何がほんとでうそか分からないけど。