矢作俊彦 / ららら科學の子(文藝春秋)



中共に夢を抱いた青年はなんとなく大陸へと渡り、その実態に打ちひしがれ、
マフィアの船で30年ぶりに日本へ帰り、牛丼屋(?)で出会ったビールを飲む女子高生に
自分の失った時間への憧憬を垣間見たりして。若さへの、過ぎさった時間へのノスタルジー
そして来たり行く死の予感。全体的にロストな雰囲気。作家が自らの老いをテーマに据えたのだろう。