夏の兆し

葉櫻の傾き見せたるあほき月 
             ディアマリー=ウツボJr.


最近毎晩のようにミルス・ブラザーズばかり聴いていて、他の音楽を聴けなくなってしまうと恐ろしいので、ブルックナーピアノ曲集というずいぶんとレアなものを借りてきて聴いている。しかもこれがロマン派な感じで…すごく朴訥な響きを宿している。

ちなみにミルス・ブラザーズはこれを買った。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000508FI/qid=1084533052/sr=1-21/ref=sr_1_2_21/249-5433525-8113117

やはり古いジャズやオールディーズといわれるポップスを買う時は気をつけねばならない。どんなにレイアウトが変でも、投げ捨てたくなるようなジャケットでもイラストレイションを載せているものは避けたほうが良い。CDを手にしたとき少しいやな予感がしたのだが、案の定レコーディングデイツの記載さえない…。ライナーノーツの拾い読みさえできない。そもそもライナーがないのだから。しかし、音楽はすばらしい。きわめてすばらしい。なぜこういったインティメイトな感覚が音楽に存在しえたのだろう。ふしぎでならない。

'20年代中盤から'30年代にかけて活躍したジャズ・ヴォーカル・グループは一様にインティメイトな発声をしていた。ミルス・ブラザーズ、モダネアーズ、パイド・パイパーズ、アンドリュース・シスターズ。実はこれは要は彼らの発声法がマイクロフォンの発達に伴って発展したクルーナースタイルだったということによる。むろんポップスはその時代背景にも深く影響を受けるので、世相も反映しているのだろうが。最後にこの頃のレコーディングスはオールモノラルでそこらへんを頭に入れつつ、後に、このジェントルな歌の系譜が、フォー・フレッシュメン、ビーチ・ボーイズと続いていくことを考えてみたりすると面白いかもしれない。

蛇足。

内田先生は「鼻声」と書いているが、まあ、weeping voicesとcroonerの連続性というのもあるかもしれんなあ、と思ったりした。

http://blog.tatsuru.com/archives/000111.php