穂村弘 / 世界音痴 (小学館)



タイトルが良い。これが「世間音痴」だったりすると、ずいぶん話は身近なところへ引き寄せられてくるのだが、「世界音痴」とすることで詩的な趣を増している。
しかし「世界音痴」とは…なんと無防備でさびしく、ブンガク的なタイトルなのだろう。とるに足りない日常のスイッチからはじまった妄想がうねうねと続いたり、
うまく聴き取れない「世間」からの便りを、うたのことばに翻訳して、彼の、そしてわたしたちの「世界音痴」に昇華させていく。
これは穂村のブンガクである。むろんブンガクというのは、言うまでもなくことばの森に住まう人にとって生きるということである。
かなり気に入ってしまったので、感想文も大げさになってしまった。ので、ここで終わる。




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