1-1 「もてない男」の定義



小谷野(以下筆者)は、まず「まえがき」で、彼の言う「もてない男」について定義している。箇条書きしてまとめてみると以下のようになる。

  • 「好きな女性から相手にしてもらえない、というような男」(8)
  • 彼は「高い理想を求めて、これに叶わない異性は相手にしない、がために恋人の不在に苦し」(8)む
  • 彼が「好きでもない女百人とセックスしてももてるとは言えない」(9)



筆者が言うように、本書での「もてない男」は「世間で言う」「ほんとうに、救いがたく、容姿とか性格のためにまるで女性に相手にしてもらえない男」(8)ではなく、上記のように、理想が高く、得恋できず(失恋ばかりしており)、可能性の上では「好きでもない女」とはセックスしているかもしれない男である。