3-1 「女は押しの一手」思想



筆者は映画『眺めのいい部屋』(ジェイムズ・キーヴォリー(ママ)監督、E・M・フォスター原作)、『ホテル・ニューハンプシャー』(ジョン・アーヴィング原作)、紫式部源氏物語』中の「宇治十帖」、名香智子パートナー』などに描かれている強姦のシーンを通して「(女は押しの一手だ)」(74)と思い、「最後まで求愛はあきらめてはいけないというメッセージ」を受け取った。ただ、「強姦されると女はその男を愛するようになるなどと言えば、フェミニストに大目玉を食らいそうだし、本当とも思われない」(77)としている。というのは「私は「女は押しの一手」思想を信じてえらい目にあった」(78)からである。


次に筆者はラブレターについて「少なくとも現代日本では、美しい文章で恋文を書けるということに「口説く」ための有効性はほとんど失われていると言わざるをえない」とし、春風亭小朝の高座でのマクラから「要するに口説き文句は、何を言うかではなくて誰が言うかが重要なのである」(80)ということを聞いて「その通り」だとしている。