3-2 「押したり引いたり」しなければいけない、という言説



筆者は「「押したり引いたり」しなければいけない、という言説」とは「要するに「手管」というやつで」(80)、「気があるような、ないような振りをしながら少しずつ引きつけるやり方である」と説明し、「この手も、相手に少しは気があるときしか使えないのである。でないと、一遍引くと引いたっきりになってしまったりする」(81)と述べたのち、「ここで「愛を告白する勇気がない」とかいうチンケな輩は問題にしていない。愛を告白してそれでも振られるというそういうケースを問題にしているのであり、あるいは「愛を告白する」というのが愛を得る手段として適切かどうかということを問題にしているのである」(82)と問題を整理している。