対談3:平田オリザ(劇作家)×福原義春(株式会社資生堂名誉会長)



平田の主張:企業社会は激しく変化している。女性の上司、外国人の上司、年下の上司などといういまだかつてない存在が現れ、新たな人間関係が生まれつつある現在、たとえば、女性の上司が男性の部下に命令するようなことばがいまの日本語には、適切な表現として存在しない。そういったものをこれから作っていく必要がある。大きな課題だ。日本語の「敬語」は美しい、しかし、明晰な言語表現を妨げるという意見があるが、その一方でファストフードによく見られるような「マニュアル敬語」が広まりつつある。まず「表現したい何か」があって「ことば」があるのだから、「敬意」が「マニュアル」ではまったく意味がない。


福原の主張:「日本語が明晰な言語表現に向かない」という言説には与しない。今、もっとも保守的な存在は中間管理職で、彼らは自己保身的で頭がかたい傾向がある。若い人にはもちろん期待しているが、まずひとがあってことばがあるという考え方を徹底する必要がある。ことばというのは、ひとによって話されるのだから、その「ひと」を作るということが急務なのだ。困難な課題ではあるが今後の企業社会はそれに取り組んでいかねばならない。




テレビを見てから少し時間が経っているので、わたしの主観が混じっている部分もあるかとは思いますが、その点についてはご容赦ください。