ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、オレグ・マイゼンバーグ(ピアノ)演奏 / エネスコ:ヴァイオリンとピアノのための作品 ほか



演目は四つあるので、少しづつ感想を書いてみよう。

  • ジョルジュ・エネスコ(ルーマニア、1881-1955) 「幼き頃の印象 作品28 -ヴァイオリンとピアノのための」



印象派の影響があるけれども、ヴァイオリンとピアノがうんぎゃーと悲鳴をあげておりまする。アブストラクトな官能。坂本龍一など聴いている場合ではないよ。(1940年作曲)



リズムがバーバリックだよなあ。こういう野卑な感じがこれから人気を呼ぶんじゃないかと思う。(1927年作曲)



不協和音、リズム感が正統的なクラシックを逸脱している感じで素敵。(1922年作曲)

  • ペテリス・プラキデス(ラトヴィア、1947-) 「イナゴの2つのダンス」



ライナーにもほとんど情報がない。2分強の小品。


ライナーに、シュルホフのことばが引かれているのだが、ちょっと紹介したい。


「ヴァイオリンの甘い音色を使ってむせび泣くような音を作る人が多いなかにあって、私は−気をつけて聞いてほしい−いつもその全く正反対のことをしようとする。その意図するところは、あなた方−小さな操り人形であり、精神の伊達男、べっ甲ぶちの眼鏡をかけたサロン知識人、病的な温室栽培の花、そして腐敗した表現主義者であるあなた方−にむち打って熱狂というものをたたき込むためである」 −エルヴィーン・シェルホフ


うひょー。かっこいいなあ。で、実に彼の作る音はオルタネイティヴなんですな。ロックと言ってもいい。語の本義においてプログレッシッヴといってもいい。去年は、バルトークやらヤナーチェクやら東欧の作曲家へぽこっと触れた程度だったのですが、ことしは東ヨーロッパの作曲家たちにウンウン言わされそうな気がします。いろいろ聴いてみよう。