宮崎駿監督 / ルパン三世 カリオストロの城



DVDで、宮崎駿監督『ルパン三世 カリオストロの城』を観た。ルブランのルパンシリーズをお読みになった方はご存知だと思うが『カリオストロ伯爵夫人』という話があって、それをいちおう参考にしているらしい。原作を読んだのが中学生になるかならないかのころだったので、内容の違いはあまりよくわからない。


この映画はルパン三世ファンには、おそらくあまり人気がないのだと思う。下世話さが足りないのは明らかだ。最後のシーンの銭形などはまるで詩人だ。ルパンには宮崎の理想のヒーロー像(当時)が投影されている。そして確かに気持ちのよい冒険活劇に仕上がっている。ただひとつ、欠点は、ルパンの品が良過ぎること。そして彼のシャイネス。主人公がルパン三世でなければいけないという必然性がこの映画にはない。あるいはルパン三世から始まるべき物語がこの映画にはない。しかし、ルパン三世のキャラクターを使って完全に宮崎駿の世界になっているところには舌を巻いた。どこか静謐さのある漫画映画だ、これは。


「なんだよ、じゃあお前の言うルパン三世ってどういう男なわけ?」って訊かれると困ってしまう。モンキー・パンチの原作も、映画も少ししか観たことがないから。それに加えて、ルブランの原作をいくつか読んでいるけど、昔の話だ。テレビの連続アニメはむろん観ていない。わたしの「かくありなむルパン三世」という希望がそもそもないのだ。