鶴見俊輔、聞き手:山中英之 / 読んだ本はどこへいったか(潮出版社)



 「かるた」を通して、生活に基づく近世庶民の知恵の深さ豊かさを語る良い一冊。島崎藤村岡本一平が、明治末につくった『藤村いろは歌留多』が出て来るのが面白い。藤村と歌留多という意外性。藤村のことばに絵をつけた、この一平が岡本太郎の父君ですな。一平とその妻かの子にまつわるエピソードも驚き(夫婦とかの子の愛人二人の四人で、パリに遊んだりしている)。後半では氏による大衆文学論も読める。