菊地成孔 / CDは株券ではない(ぴあ)



 この本を読んで、オレンジレンジが少し気になる。まず、オレンジレンジファンの方で、特にパクリ騒動に心を痛めている方が読むといいと思う。あんまり読まなさそうだけど。


 この本は一冊丸ごとほとんど何の役にも立たない文章だけど、おもしろい。でも批評とか文化とか「ほとんど何の役にも立たない」ものかもしれないな。一冊が、すごく独創的な文章に満ちていると思う。けれども、どこがどう独創的なのかは、うまく説明できない。余剰とか、病的とか、そんなことばを遣って、何かわかったようなことが言えそうだけれど、もう1回読んで、これがどうにか説明できるような気がしても困るので、もう1回読み直さないことにした。結局、感じたのは菊地さんが昨今のジェイポップと呼ばれる音楽にはたいして愛情を抱いていないということ。ジェイポップ好きはきっと読まないであろう一冊。でも彼らが万が一手にしたら、きっと事故か何かのようにおもしろいと感じるかもしれない一冊。