南博 / Touches and Velvets



 エスロピ(http://d.hatena.ne.jp/prse/20050920#p3)で第1回菊地成孔楽曲大賞2004の発表が行われてますが、この作品は楽曲部門b(プロデュース作品)の部門で1位になってますね。そういや、去年リリースされてたな、金が無くて買えなかったんだよな、と思い出しました。


 内容はわずか5曲なのですが、品の良い濃厚なチョコレートを食べたような塩梅で後味もすばらしく、まず4回連続再生してしまいました。収録曲はどの曲もすばらしいですが、チャーリー・パーカーの「Scrapple From The Apple」の解釈が本当にすばらしいなあ、と強く思いました。端整なピアノの運指のあとに、ベースがぶぶぶんっと入ってくると実にゾクソクします。
 しかし、こういう「イノセンスの希求」がじわじわ染み出ているような作品に出会うと、ピアニストはやっぱり男に限るなあ、と思ってしまうものです。女性ピアニストがバラッドを弾くと、大海のようになる傾向があると思うのですが、男性はほとんど音楽が小川で、途中で流れが急になったり、干上がったりもするのですね。そういう雑駁で個人的な小生の無駄口を脇においても、古き良き時代(50年代かな)のロマンティシズムへの憧憬溢れる本作はおすすめです。老若男女不問、未聴の方は、ぜひご一聴を。