マガジンハウス編集部 / 平凡パンチの時代 (マガジンハウス)

平凡パンチの時代―失なわれた60年代を求めて


 60年代におけるエポックメイキングな雑誌『平凡パンチ』の回想記。文書はマガジンハウス書籍編集局、塩沢幸登が担当。三島由紀夫野坂昭如横尾忠則大橋歩石津謙介など、当時のアイドルたちについての微に細に入った記述が魅力的。資料編として、当時の『平凡パンチ』に掲載された記事の再録などもあり、読み応え十分。


 「若さそれ自体に価値がある。若さとは遊ぶ能力である。金はあまり無いけど、遊びのポーズの良さを示すこと、それ自体が価値なんだ。庶民的善良さのシンボル=スターを売りにした『週刊平凡』と女にもてる奴が一番偉いという『平凡パンチ』の違いはそこにある」(要旨)とは同書にインタビューされた映画評論家、佐藤忠男だが、彼の発言に実に得心させられた。おそらく1964年の東京オリンピックを境に、日本に広く根付いていき未だ支配的な、物質的豊かさに基づいた価値観をリードしていく存在として、雑誌があった、ということは驚きだ。