幸井俊高 / 漢方的スローライフ (ちくまプリマー新書)

漢方的スローライフ


 人間を部品の集合として考えるのではなく、ひとつの有機体として考える、とか、「対症療法」ではなく「原因療法」だとか、「病気」は単に「部品」の不具合ではなく、有機体全体のバランスが崩れていて、それが目に見える様子で現れていると考える、などという解説を読んで、漢方が西洋の科学とはまた別の思想を根本に有する論理体系であることが分かった。
 西洋医学との違いに触れつつ、その功罪について言及しているところに著者の知性を感じた。しかし、漢方によりもたらされるマイナス面についての記述が無かったのには物足りなさを覚えた。それは読者が考えればよいとは思うのだが。