小谷野敦 / 評論家入門 (平凡社新書)

評論家入門―清貧でもいいから物書きになりたい人に (平凡社新書)


 再読。特に前半は、評論の読み方、日本の評論史について、また評論がどのように定義されるかということについて具に書かれている。本書で一番重要な点は、評論家になる/なろうとするなんて容易なことではない、固い意志がない限りやめたほうが良いということを、繰り返しきっちり述べている点だ。具体例として現在は著名な作家たちが経験した苦渋の時代についても記している。「それじゃあ、入門じゃないだろう。羊頭狗肉だ」という批判もあるだろうが、奇麗事で終わらない案内をするところに作家としての筆者の誠実さがあるのだ。