椎名誠 / 本の雑誌血風録 (朝日新聞社)

本の雑誌血風録


 『哀愁の街に霧が降るのだ』『新橋烏森口青春編』『銀座のカラス』に続く『本の雑誌回顧録シリーズ。わたしは1997年までに刊行されたシーナ作品はほぼすべて読んでいるから、既知の「エピソード」が多い。

 シーナ文体は発明だと思う。彼の文章に、平易な言葉で物語ることの重要さを教えられたと言っても良い。今読むとふしぎな安心感がある。書かれている内容は血気盛んな30代のシーナさんを中心にした『本の雑誌』周辺の群像。ファンにはおなじみの世界だ。