映画美学校/音楽美学講座/クリティック&ヒストリーコース高等科講義@京橋・映画美学校
講師:野々村文宏
本日のテーマ:音楽について書くとはどういうことか(音楽批評の方法論)
- 批評の前提
- 多角的な検証方法がある
- たとえば、「音楽を聴くわたし」を相対化することは、聴取スタイル論につながる
- 書くこと/読むことの肉体性
- 音楽を通じて何を書くか、その動機と到達目標を見定める
- 問いのない書き方は生産的でない
- 音楽に関する言説の分析が必要
- 音楽批評は音楽とどんな関係か さしみ(音楽)のツマ(音楽批評)か?
- 2.形式批評
- 従来の演奏家向けの批評
- 形式もまた印象であるという批判がある
- 2.1 演奏方法という形式の違いを聞き分ける
- 2.2 楽器/エフェクター/録音/ミキシング技術の差異を論じる
- 2.3 歌詞分析
- 日本の代表的な批評家:吉田秀和/近田春夫(一時期)/菊地成孔
- 3.ジャーナリズム
- 音楽にまつわる事実や歴史に即して、地理的な与件などを組み込み論じる/報じる
- 音楽雑誌とは何かを考えよう
- 『The Rolling Stone』(米)の『ロッキング・オン』(日)への影響
- 海外メディアのニュースやレポートの紹介/翻訳
- 4.アカデミズム
- 文芸批評の受容理論にあたるもの/マルクス主義にもとづく批判理論体系に位置づけられる
- アドルノ『音楽社会学序説 (平凡社ライブラリー (292))』
- アドルノによる聴取の7つの類型
- 1 エキスパート
- 2 良い聴取者
- 3 教養的聴取者
- 4 情緒的聴取者
- 5 ルサンチマン型聴取者
- 6 音楽を娯楽としてしか聴かない人たち
- 7 無関心な者/非音楽的な者/音楽嫌いな者
- アドルノ=ホルクハイマーによる「文化産業」概念(『啓蒙の弁証法―哲学的断想 (岩波文庫)』)
- マルクスによるテーゼ「下部構造(経済/生産関係と生産力)が上部構造(社会形態/政治や宗教)を規定する」(『資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)』)
- ボードリヤールによるマルクス批判(ポストマルクシズム/ポストフォーディズム...これらは先進国/北半球中心に有効な概念・『消費社会の神話と構造 普及版』)