橋本努 / 自由に生きるとはどういうことか(ちくま新書)

自由に生きるとはどういうことか―戦後日本社会編 (ちくま新書)


突っ込みどころとうなづけるところがいい具合にミックスされている戦略的(?)な一冊。例えば第5章のエヴァンゲリオンオウム真理教という2つの現象をグノーシスを通して考えるのは、文系学生の卒論の参考になりそうな丁寧な構成と、適度な強引さがある。また、第6章の前半は「情緒消費」というタームなどに広告代理店のプレゼンテーション資料のような感じが漂い鼻白むが、後半の「潜在能力イデオロギー」についての指摘は鋭い。若者向け商業文化(いわゆる" サブカル")を社会や時代と結びつけて語りたい若者は読むべし。