佐藤優 / 獄中記(岩波書店)

獄中記


獄につながれ、これ幸い勉強ができると嬉々として振舞う変人の日記。本書では省かれた独房での己を律する忍耐と努力があったのだろうが、基本的には雑事にかまけず難解な思想書ばかり読んでいる強靱な精神に驚き呆れる。筆者が役人の柄に収まる個性でなかったことがしみじみと伝わってくる傑作である。