6月に読んだ本(読書メーター「まとめ」機能による)



精神的に本が読めるよーな状態ではありませんでした。

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2010年6月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2082ページ


■レッド(4) (イブニングKCDX)
とうとう静かに敗北主義者たちの粛清が始まった。淡々と進む物語が素晴らしい。革命という熱病に取り憑かれたと思われがちな、極左集団メンバーの動揺と崩壊の兆しがゆっくりと現れている。今後、彼らの破滅への道のりがどのように描かれていくのか興味は尽きない。『レッド』が山本直樹の傑作の一つとして新たに数えられるで作品であることを確信した。
読了日:06月30日 著者:山本 直樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6649953


■霧の旗 (新潮文庫)
主人公柳田桐子の偏執狂ぶりが淡々とした筆致で描かれており、読者に真の恐怖心を覚えさせる傑作。最高の復讐とは、生きたままに恥辱を骨の髄まで味あわせることであるとし、扇情的な殺人がとるに足りないことのように描かれているのが印象的(桐子に比して山上の人物描写の薄っぺらなこと!)。相変わらず清張の要を得た文体のそこここにミソジニーぶりも炸裂しており素晴らしい暗さと深さがある。金貸し老婆殺人というモチーフは『罪と罰』を借景したものだろう。
読了日:06月28日 著者:松本 清張
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6633301


■現代霊性
読了日:06月27日 著者:内田 樹,釈 徹宗
http://book.akahoshitakuya.com/b/4062159546


吉本隆明1968 (平凡社新書 459)
素晴らしく面白かったが、読了するのに1カ月かかった。吉本による高村光太郎論を著者がさらに腑分けすることによって、人がそのことばで真摯に世界を捉えうることの難しさを詳らかにしている。
読了日:06月24日 著者:鹿島 茂
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6591856


■作家の誕生 (朝日新書48)
ピカレスク』と『ペルソナ』と『マガジン』読んでれば読まなくていいでしょう。軽く読めて、日本近代文学の成立(職業としての小説家の成立)の経緯がわかるから悪くは無い。
読了日:06月12日 著者:猪瀬 直樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6444808


大正天皇 (朝日選書)
明治帝と昭和帝の間で不遇な生涯を送った印象の強い大正帝の人生を詳らかにする一冊。知的障害と病魔に苦しみながらも精力的に日本各地を回った皇太子時代を描くことにより、既存の大正帝像を丁寧に覆していく良作。
読了日:06月03日 著者:原 武史
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6330174


■対論 昭和天皇 (文春新書)
まとまった内容を読みたいなら原の『昭和天皇』(岩波新書)を読んだほうが良いかも。対談形式で読みやすいが、内容としては『昭和天皇』で語られている内容がパラフレーズされている感じ。
読了日:06月01日 著者:原 武史,保阪 正康
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6314949


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