2006-04-15から1日間の記事一覧

内藤陽介 / これが戦争だ!(ちくま新書)

世界各地で発行された切手は、その時勢に応じて、国家の意思をプロパガンダするメディアである、というテーゼに基づいて述べられる戦争論。戦争を論じる文章はいろいろあるけれど、切手を通じて戦争を眺めるという方法が新鮮。

岡崎武志 / 古本でお散歩(ちくま文庫)

いままで読んだ数冊の著者の作品の中で、いちばん文章が練られていると感じられた随筆集。サトウ・ハチローの詩人としての魅力を指摘するくだりがとても良い。

鈴木邦男 / 公安警察の手口(ちくま新書)

政治結社の一員として、長年警察とつきあってきた著者による公安警察の紹介。戦前の特高警察の流れを汲む思想警察としての公安が、自身の体験や経験をもとに、なまなましく、そして謎めいた姿で描かれている。

町田康 / つるつるの壺(講談社文庫)

にんまりと怪しい微笑みを浮かべながら読んでいたので内容をだいぶ忘れてしまったが、大阪でパンク歌手として芽が出ず、東京に出てきても貧乏暮らしでしかたなかった、というような自身の履歴を述べる語り口が、とても愉快で、技量があるなあとしみじみ感じ…

松本清張 / 日本の黒い霧 (上巻、文春文庫)

敗戦後の被占領国・日本で起きた数々の謀略事件に、GHQの派閥争い(と、日本警察の派閥争い)が大きく影響を与えており、またそのいくつかはGHQの思惑によって起こされたものだと論じる1冊。誤植が目立った。