荒俣宏『髪の文化史』(2000、潮出版社)読了。



またアリャマタ博士の本です。髪と体毛について。人間はまず女性がセックスアピールを高める
ために、体毛が薄くなって男もそれに習った説(ダーウィン博士)からはじまって、髪が上に通じて
髪=神。上のほうのあるものが偉いというのは、西洋でも同じで、昔のひとは日光を太陽の髪の毛
だと考えたとか、男女それぞれの陰毛の変遷(剃毛したり生やしたり)とか。毛髪が世界各国問わず
古来から魔力、呪術と深く関係していて、近代以降もとくにセックスアピールとして、男性女性の
ヘアスタイルがいかに変遷したか(女性はロングからショートへ。男性は江戸時代のまげに関する
話が面白いです)などなど、毛・毛・毛・毛・髪の毛に関する逸話がもりだくさん。かつらに
まつわる話もかなりあります。最後は、アートネイチャー/アデランスの話で〆。髪の毛は
やはり人のもつ若さ、生命力、性欲、といった要素と切っても切り離せない関係のようです。


個人的には、眉毛の太さが性的魅力を現すものだった、という話がおもしろかったです。最近の
眉毛いじりに関してアリャマタ博士はどんな見解を述べるだろうかしらん。あと、これはまったく
関係ないですが、最近、黒髪のひと増えてきたような気がします。チャパツが減ってるような。
そのうち白髪が流行ったら、面白いと思います。元気なひとも、白髪にしたら妙に枯れてきたりして。
まあでも、仮に白髪が流行ったらかなり退廃的だとは思います。面白いだろうけど、退廃的だな。