岡野弘彦 / 折口信夫の記 (ISBN:4120026132 中央公論社)



折口の人生を平たく書くとタブロイドみたいになってしまうのだが、生まれ出づる悩み(暴君としての父、満たされぬ母への愛)、
深い情念に裏打ちされた文藝とも研究とも別け難い知への渇望(私塾的な師弟関係、男色)、そして
流離への惑溺(勤務先を1ヶ月無断で休み馘首になったりしている)などの波乱万丈が愛のある眼差しで描かれている。