大(Oh!)水木しげる展(両国・江戸東京博物館)



弥生美術館を出て、飯田橋へ戻り、いったん下車して駅前でジャンクフードを胃へ詰め込み、総武線と中央線で両国まで行く。駅前からすぐ右手にある、江戸東京博物館で開催中の「大(Oh!)水木しげる展」が目当て。さすがにこちらは混んでいる。


混雑もあったが、2時間じっくりかけて水木翁の「点描」を鑑賞した。水木しげるといえば、執拗な「点描」の作家である。ただ、同じ点描であっても、数年前に『怪』誌に載せたものにかんしては、どうも合点がいかない感じで、背景は、かなりをアシスタントに負っているような印象を受けた。


展示物にかんしては、やはり戦前〜戦中〜復員後の原画やスケッチがいい。 とくに、貸本漫画時代の「墓場鬼太郎」の原画には、うっとりさせられた。他には1970年に発表された「サイレントショックシリーズ」。これは傑作だった。台詞がないのだが、おそろしく起承転結がうまい。荒俣宏京極夏彦がプロデュースした と銘打たれているが、たしかにかなりの力の入りようで、水木ファンであれば行って後悔はしないと断言できる。わたしは展示された原画の数々に深く静かに興奮した。展示の順番がわかりにくいのと、入り口がなぜ自動改札なのか、ということを除いては実に充実した展覧会であった。思わず240ページ余りある水木しげる展の図録を購入してしまった。