1-5 童貞と潔癖さ、そして 童貞喪失はあっけないのかどうか



筆者はフランスのフレデリックアミエルの日記を紹介し、彼が四十歳まで童貞であったこと、それは彼の潔癖と、恋愛への高い理想が理由であったことを指摘する。そして、アミエルの「とにかく男と名のつく者が、必要な場には自分が教え手となることもあるのに、無経験でいるということは滑稽ではないか」という発言を引いて、「男性学」者にせよフェミニストにせよ「四十過ぎまで童貞でも恥じることはない」とはあまり言わず、その理由として彼らは「心の底でそういう男を軽蔑しているから」(39)とする。最後にアミエルと上野千鶴子の初体験の感想をそれぞれ引き、初体験の感想に「いざやってみるとセックスは大したものではなかった」(40)というものがあることを指摘し、この章は終わる。