感想/意見:第二回 「おかず」は必要か―自慰論



さて、第二回で大切なところはどこか。「恋愛欲」の定義というのはここで改めて確認してもいいかもしれない。「恋愛欲」は「人格的な交わりを経たのちに」「生身の他者にセックスのような形で自分を受容してもらいたいという欲望」である。これは一般的に考えて、大方の人間がもっている欲望といえるだろう。但し、人間の中には先天的な問題でそういった欲望にドライブされないような脳の仕組みを持っている者もいるだろうし、「恋愛欲」ではなく「性欲」に突き動かされたように理解される強姦もある(これも最終的には脳の問題になるのだろうか)。


「恋愛欲」と「性欲」について。わたしの経験に基づいて言うと、性的体験をある程度経ると「恋愛欲」がはっきりと感じられるようになるが、初体験後しばらくは「恋愛欲」と「性欲」というのははっきり区別できない。特に初体験の相手との恋愛の渦中にいるときはたいてい「人格的な交わりを経」ているわけだから、「恋愛欲」そのものよりも、「性欲」が強く感じられるかもしれない。また、「恋愛欲」というのは、恋愛状態にない場合、男女ともに強く感じる傾向があるということはできるだろう。


この章で問題になっているのは、筆者による「恋愛弱者論」である。ここで筆者の定義による「もてない男」を今一度確認してみよう。彼の「もてない男」とは理想が高く、得恋できず(失恋ばかりしており)、可能性の上では「好きでもない女」とはセックスしているかもしれない男だ。彼が理想が高く、得恋できない「恋愛弱者」なのであれば、まずその理想を下げればいい。下げることができないのであれば、得恋できないだろう。また、「恋愛欲」に動機づけられているが「他者を「恋愛」のような形で獲得する能力を持たないものをどうやって救済す」るべきか、という問いにかんしては、ここで彼が「能力を持たない」と定義づけられている以上、救済することができない。