2005-01-17から1日間の記事一覧

返事:かたるさんの『もてない男―恋愛論を超えて』#1へ

タイトルのキャッチーさについてですが、これは小谷野氏に限ったことではなく、扇情的な、場合によっては羊頭狗肉に感じられるタイトルの商品というのはいろいろあると思いますが、小谷野氏の著書にはなかなか扇情的なタイトルも多いので、注意が必要です。…

返事:タキネコさんの小谷野敦『もてない男』 その1へ

「童貞」にかんしてはあまり興味がないと言えるかもしれません。精神的な童貞(童貞精神)には興味があると言えそうです。 みうらじゅん/伊集院光『D.T.』(メディアファクトリー)は以前読みました。これはむろんご指摘のとおり、「脱童貞を成し遂げた男に…

感想/意見:第二回 「おかず」は必要か―自慰論

さて、第二回で大切なところはどこか。「恋愛欲」の定義というのはここで改めて確認してもいいかもしれない。「恋愛欲」は「人格的な交わりを経たのちに」「生身の他者にセックスのような形で自分を受容してもらいたいという欲望」である。これは一般的に考…

2-7 「性的弱者論」と「恋愛弱者論」

筆者は「セックスの相手がいないということが、一人の男、あるいは女の精神衛生に与えるイメージがどの程度のものか、これはあまり研究されていないように思える」(64)と述べた後、「セックスの相手がいない、というのは「心身問題」であって「身体問題」で…

2-6 性交相手がいないという問題

筆者はまず都市の「吉原のような格式の高い遊里では、初回、裏、馴染みという形で、客は三度通って初めて女郎と枕を交わすことができた」(63)という事実から、「徳川期の遊里では、擬似的な「恋愛」が行われていた」(同)とする。これは「明治初期、娼妓解放…

2-5 自慰することの問題

筆者は、十八世紀スイスのサミュエル・ティソが「オナニー有害論」を提唱し始め、それ瞬く間に欧州を席巻し、やがて明治期の日本にもその思想が流入し「実際、明治から昭和にかけて、多くの、もっぱら若い男がオナニーに対する罪悪感に悩んだ」(60)と言う。…

2-4 前近代日本の「おかず」について

筆者は春画(「徳川時代の浮世絵の一変種」であり、「男女のまぐわいを、その性器の部分を拡大して描いたもの」(56))を紹介し、これがオナニーの「おかず」であったことをタイモン・スクリーチの発言(「春画はオナニーの道具である」)を引いて補強してい…

2-3 自慰具の種類

筆者はヘンリー・ミラーの小説を読みその影響で、カップラーメンを使ってオナニーを試みたが、「全然オナニーの快楽というものが」(51)なかった。現在では、「カップラーメンの容器をひとまわり小さくしたようなものにスポンジを詰め、仕切りを入れてオナニ…

2-2 「おかず」の発見とその種類

筆者は「中学生のころ、NHKで人形劇『真田十勇士』を放送していて」、その原作(柴田錬三郎作)を読んだところ、「擬古的な文体で書かれた何とも官能的な小説群」であり、「その内、官能的な場面を読んで興奮することと、一物を刺激することとが重なり合いは…

2-1 自慰の種類

筆者は十八歳頃、伊丹重三編集の雑誌『モノンクル』(朝日出版社)を通して、「「イメージのないマスターベーション」というのもあって、自分の肉体の快感だけのものもある」(45)ことを知る。筆者の「経験や感触から言うと、十代後半から、二十代にかけての…

概要:第二回 「おかず」は必要か―自慰論(該当ページ:44〜68、但しこれより後のカッコ内の数字は引用先のページ数をさす)

読書会:第1回 小谷野敦『もてない男―恋愛論を超えて』(1998年、ちくま新書)その2