3-4 一人に決める難しさ



筆者は「竹田青嗣が「同情ならいや、愛ならいい」という心理について書いている(『恋愛論』作品社)が、これはけっこうレベルの高い話で」「せめて同情なりとしてもらえれば私の世界では御の字なのである」と心情を述べている。また、「どうして人は自分を恋する異性を愛しかえすことができないのだろうか」(86)と問い、その答えとして「それは、人生が一回限りだからである。仮にパラレル・ワールドのように人がいくつもの生を生きることができたら、(この人生ではこの人を愛しておこうか)と思えるはずだ」(87)としている。