福田和也 / 作家の値うち (飛鳥新社)



非客観的な批評を常に心掛けているという著者がより分かりやすい批評のための指標として点数制(計測不能〜100点満点)を導入し、エンタテインメントと純文学のカテゴリに分類した上で著者別に作品を評している。450冊ほどについて評があるが、後書きによればこの企画のため600冊を読んだとのこと。お疲れ様でした、と言いたい。石原慎太郎と、村上春樹について高い評価をしていたのがなんとも奇妙で印象に残った。しかし、著者の目指したと思われるわりと客観的な批評が行われているかは甚だ疑問で、福田の著書を初めて手にした者が口にするのはおこがましいが、誰も福田に「客観的な批評」など期待していないのではないかと思う。