大塚ひかり / 太古、ブスは女神だった (マガジンハウス)



神代から近世に至る日本のブス言説の変遷を詳らかにする一冊。ブス言説の変化に合わせて、日本の歴史も学べるので一石二鳥だ。院政期の権力の仕組みや、江戸時代に成立した強い父権制についてもそれとなく入ってくる。それにしても、著者があまりにブスブス言っているので、なんだかブスが力強い存在に思えて来るのがおもしろい。「醜パワー」という概念の提唱も新鮮で、作中でしばしば立ち戻る記紀神話におけるブス(定義の詳細は実際に目を通してご確認いただきたい)は実に興味深い。おすすめの一冊である。