竹内洋 / 教養主義の没落 (中公新書)



「教養」を西洋から輸入した日本においては、必ずしも出身階層が「教養」への妨げとならなかった傾向を、東京帝大文学部生の出身別統計を参照して導き出し、農村出身青年と教養主義の親和性を論じたり、広義のアカデミズムにおける岩波書店の立ち位置分析をしている。読み応えあり。


師や友人を通じて得る教養による人格の陶冶の必要性を挙げ、その現実性の無さを嘆きながらも、生きる上ではその妨げとなることがよくある「教養」がひととして生きて行く上での礎となるはず、という信念で締めるあたり読み物として熱があって、実に面白かった。ビートたけし好きな方にも、おすすめです(読めば分かります)。