橋本治 / ぼくらの未来計画 (小学館)

ぼくらの未来計画―貧乏は正しい!


 読み応えのある一冊だったので、要点を自分なりにまとめてみた。

  • 資本主義はどんな仕組みか



 資本主義は借金を必要とする仕組みであり、その借金は永遠に膨張をし続けることしかできない。しかし、「大きいこと」は、もはや「良いこと」ではないので、それをどう言い出して、どうやって止めるかを考える方法が必要。企業は借金をすると税金を払わなくて済むような仕組みがある。

  • 会社は誰のものか



 会社は株主のもの。投資家と経営者を必要とするのが資本主義であり、労働者は勘定に入っていない。労働者は株主であれば、経営に関われるという原則があるが、実態は別である。というのも、明治期に日本の会社組織がイエ制度をモデルとして作られたから、サラリーマンには会社を大きくすることしかできない。会社を良くするのは経営者にしかできないが、会社の目的は常に「利潤の追求」の為、実際には良くならない。したがって、会社は大きくなるしかない。

  • サラリーマンは何をするか



 サラリーマンは豊かさでふやけた現代のプロレタリアである。すべての社員に平等に、将来の経営陣への「参加」の可能性がある。これは本質論であり、理想論である。しかし、理想論であるからといって考えることをおろそかにしてはいけない。自分のいる「この会社はどうあるべきなのか」と考える義務がある。あいまいな自分のあいまいな前提をしっかり認識し、現状を考えて、変えていくことこそが「ノーマルな考え方」である。

  • 出世とは何か



 勉強して、責任を負うことが、出世というものである。

  • 仕事とは何か



 仕事とは他人の要求に応えること。

  • 自給自足とは何か



 自給自足とは貧しさを維持することである。自給自足が善であるということは幻想であって、そこに自足はあっても自由はない。また、精神の自給自足状態を、「自立」という。