指揮:クワメ・ライアン、演奏:フランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団、ヴァイオリン独奏:ネマニャ・ラドゥロビィチ/ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲@東京国際フォーラム ホールA



知っている人は知っているし、知らない人は知らないことだが、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲できちんと完成したのはこの1曲だけである。指揮はクワメ・ライアン(カナダ生まれ、トリニダード・トバゴ育ちの黒人)、演奏はフランス国立ボルドーアキテーヌ管弦楽団、そしてヴァイオリン独奏は、ネマニャ・ラドゥロビィチ(セルビア人)。国際色豊かなチームである。ホールAは5年ほど前に、ブライアン・ウィルソンのコンサートを観にきたが、低音や弱音の持続音、とりわけ木管楽器の音色が美しく響くのでクラシックのコンサートホールなんだなあとしみじみ思う。ネマニャ氏は、足でリズムを取りながら、たいへん技巧的にヴァイオリンを独奏した。かなり現代的なセンスを感じた。簡単にいうとロック音楽的パッション/感覚を演奏に込めているように読めて、たいへん分かりやすい。クラシック界のマーティー・フリードマンみたいな感じ。終演後、軽くスタンディング・オベーションが起きていたが、わたしはヴァイオリンの音にくたびれて帰った。