ジョン・カーペンター監督 / 遊星からの物体X(原題:The Things)



本作はSFを借景した恐怖映画である。閉鎖された空間(南極)を舞台にしたホラーとして極めてよくできている。結局人間にとってのいちばんの敵は恐怖に支配される人間の心そのものなのだとしみじみ感じさせられる。


クリーチャー(The Thing)の造形には素朴に『エイリアン』や『イレイザーヘッド』を連想したが、わたしがその手の映画に疎いせいだろう。クリーチャーによる人間の乗っ取り方(詳細は伏す)には、制作年代からしエイズの流行(1981年米国にて公式に患者認定)が影響しているのかもしれない。