姜尚中、小森陽一 / 戦後日本は戦争をしてきた(角川Oneテーマ21)

戦後日本は戦争をしてきた (角川oneテーマ21)


本邦が朝鮮戦争ベトナム戦争にいかにかかわり発展したか述べる対談本。"歴史"を知らない若者にとって啓蒙的で役に立つ。ただし小森の発言は傾向として煽動的かつ陰謀史観が垣間見え、活動家らしさは頷けても、研究者としての冷静さには疑問が残る(対談形式の作品なので、ついつい口がすべるのだろうが)。反対に姜は冷静だが、休戦中の朝鮮戦争を終わらせることに東アジアの安全保障体制確立への希望をつなぐあたり、空想的過ぎる。批判すべき点も多いが、歴史を複数の観点から通時的に検討する試みとして学生や社会人にも参考になりそうだ。