2005-07-10から1日間の記事一覧

加藤典洋 / 僕が批評家になったわけ (岩波書店)

第2章「批評の酵母はどこにもある」、第4章「ことばの批評」が殊におもしろかった。内田樹ファンもぜひどうぞ(読めばわかります)。

東谷護 / 進駐軍クラブから歌謡曲へ (みすず書房)

敗戦後、日本に進駐した米軍属を慰安するために国内各地に設けられた「進駐軍クラブ」(1945〜1952年、占領期)が、日本の洋楽受容における転機となったこと、ビッグバンドスタイルの演奏がその後の歌謡曲に及ぼした影響を、各種資料、バンドマン、元駐留軍…

ブルボン小林 / ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ (太田出版)

ブルボン小林こと長嶋有のビデオゲームにまつわるエッセイ集。かなりくだけていて苦笑失笑爆笑の連続でした。帰宅ラッシュの電車の中で読むのは危険! 「怒られゲー」などとうそぶいて、喜んでいるあたり、若い女の子に怒られるとうれしいと発言する穂村弘の…

上尾信也 / 歴史としての音 (柏書房)

楽譜の変遷を通して考える西洋音楽のモダニゼーション、シンボルとしての楽器論、音楽家の異能性と社会的地位の相関性などについて、詳らかに論じられている。目に見えない「音」という現象を、音楽史という記号論に移し替えることへのためらい(音をとらえ…

内田樹、名越康文 / 14歳の子を持つ親たちへ(新潮新書)

親子関係(家族)論を起点として身体論に及ぶ。軽く読めるけれども、その放言の中にキラキラ鋭いことのはありけり。

鈴木謙介 / カーニバル化する社会(講談社現代新書)

読み応えありました。ちぃと難しかった。データベースを参照して快楽を摂取して行く生き方がもたらすであろう功罪について、留保しつつ(雰囲気としては試論だ)述べていて、東浩紀の『動物化するポストモダン』を思い浮かべていたら、後書きで東のメールマ…

花村萬月 / 父の文章教室(集英社新書)

言葉の選び方が、きびきびしていて面白かった。小説家志望の名目で生涯遊び歩いた父に施された狂気の英才教育。その課程を振りかえって花村の「物語」についての考えや、両親に対する考えが述べられる。文と文の間から、孤独と寂寥と高慢が感じられる一冊。…

最近の読了本(6月23日〜7月10日)