サンタナ / Welcome (1971, Sony)



1曲目を聴いて、「あら」と思った。このフレーズはどっかで聴いたことあるな。
そうドボルザークの「家路」のメロディが引用されているのだ。そういえば
最近聴いたスケッチ・ショウ『トロニカ』でもそれっぽいフレーズがあったね。


1曲目のタイトルは「Going Home」(なぜかアリス・コルトレーンと、ニュー
サンタナバンドの共同名義になっている・ドボルザークの立場はどうなる・笑)。
なんだそのままだ。ポルタメントなオルガンの奇妙な音色が気持ち良い。
最初は強い違和感があったのだが、次第に慣れていった感があった。


3曲目の「ソウサリートのサンバ」もどうやら聴き覚えがある。そうか、
まろんさんに昔頂いた編集テープにこの曲が入っていたのだ、と思いだす。
ああいいなこういう洗練されたな感じは。無条件降伏、という気分だ。


おもしろいのは4曲目「君の瞳」。ソウルな感じのコーラスで幕を空け、
洗練されたクールなボーカル(レオン・トーマス?)がファンクビートに
乗ってスムースに歌い上げていくのだが、演奏が開始され3分ほど経った頃から
奇妙なコーラスが延々つづくのだ。これは聴いていただければ分かるのだが、
のどぼとけを延々たたきながらオヨオヨ言っているようなコーラスで、その
あと、ラテンで歌謡なキーボードのリフが入ってジャムっぽく終わっていく。
うまくまとめようと思えば、実にテンダーなソウルチューンになっただろうが
サンタナとバンドメンバー達の遊び心が良く感じられてとても楽しい。


続いて5曲目「君こそ光」。ボーカルにフローラ・プリンがフィーチュアされて、
サンタナの長いギターソロもイイ感じにグルーヴ。言葉はいらない心地良さだ。
ボッサな感じのリズム隊も、実に心地よく端整にリズムを刻んでいる。


時代が時代で、ロックミュージシャンたるサンタナもみごと東洋思想にかぶれ、
ジョン・マクラフリンを通じて、コルトレーンの存在を知り、このアルバムでは
とうとう未亡人アリス・コルトレーンと共演している、とライナーにあるが
そんな背景などどうでも良くなるくらい良い塩梅のラテン風味なロックだ。
アルバムの華である「FLAME SKY」のフュージョンともプログレともつかぬ長尺も
実にイイ塩梅で、美しい「WELCOME」(コルトレーンのカバー)にするりと繋がり
幕を閉じる。'71年当時のサウンドとしてはかなり洗練された部類に入るのではないか。