ジェフ・ベック / There and Back (1980, Epic)



うわー。時代の音です。シンべ来たー!(クラビネットの音らしい)と叫んでいると、
ギターを抱えた宇宙人襲来という感じ。聴き始めてすぐに「ああ、ぼくは『Blow By
Blow』のほうが好みだな」と思ってしまった。これは『Blow By Blow』『Wired』に続く、
ジェフ3枚目のソロアルバムで、全体的にかなりロック的な色が強い。『Blow By Blow』は、
非常に完成度の高いジャズとロックの折衷アルバムで、ぼくは大好きなのだ。


ジェフはそもそもテクニシャンとはいえロック畑の人間だからこうなるのは自明の理だった
のかもしれない。しかし悪いはずがない。とくにファンキーなベースのフレーズには痺れる
ことしばしば。この時期特有のシンセサイザー使いたい病がそこここに見え隠れして時々
白痴的なシンセサウンドが響き渡るが、ギターの迫力がそれをすべて吹き飛ばしてくれる。
ロックサイドのジェフ・ベックが好きな人(おそらく多くのジェフ・ベックファンはそう
なのだと思う)には、このある意味プログレでハードなアルバムを嫌いな人は少ない様に
思う。ただ、弾きまくってる感は否定できない。気分次第でもちろん印象は変わるだろう。