春日武彦 / ロマンティックな狂気は存在するか  (大和書房)



「消息」ということばを「物事の様子」という意味で使う春日はやはり文学的な精神科医である。彼の主張は一貫していて「狂気は類型である」というもの。「正気」の持つ秩序から抜け出して、「自由」を象徴するような「狂気」、つまり「ロマンティックな狂気」は存在しない、という主張に貫かれた一冊だった。