映画美学校/音楽美学講座/特別講義:John Zorn's COBRAワークショップ(3/3)@京橋・映画美学校



講師:巻上公一


一か月ぶりのコブラジョン・ゾーン作曲のゲームピース)のワークショップ第三回(最終回)。参加者がだいぶ減っていた。


わずかながら三回のコブラに参加してみることを通して、自分が音楽すること/してみることの動機を問われたのは大きい。物事に取り組むときの自分の姿勢や動機そのもの、また表現したい欲望の多寡や演奏そのものの構造やルールの難しさもさることながら、自分自身を顧みる事良い機会になった。


巻上さんは徹底的に現場主義のひとで、批評家のような冷笑的で傍観的な態度を嫌う。確かに音楽についての言葉が醸す不確かさは、音楽することでより強く感じられる。経験や体験は言葉を通じて常に咀嚼/反復される為、言語化するにそぐわない面妖なフィーリングはたちまちに切り捨てられざるを得ない。コブラのレッスンにおける絶え間なく繰り返される演奏と講評を通して、この事実は嫌でも刻み付けられるからだ。コブラでは意味や意義を堅くすることを否定せずに、むしろそれらをすでに前提としたところで、より良く演奏しなければならない。これは難しいことだ。どちらかひとつに拘泥するほうが、二つの場所を往還するより楽だからだ。音楽において「アンサンブル」と表現されることは、日常の生活においてもまったく言えることで、協奏する(エゴとエゴをアウフヘーベン;)して、より良く響かせる)ことは、困難かつやり甲斐もあることだろう。そういったエモーションを、常に自分も保っていけたら良いなあとしみじみ感じた。