『FOLK SONGS 2』

3枚のオムニバス盤を借りました。


一期一会 Sweets for my SPITZ』は、ご存知スピッツのカバー集。
実は何を隠そうスピッツ、好きなのです。高校時代は「ロビンソン」を
友人とカバーしたりしてました。小生、キーボードを弾いたのですが、
コード進行がとても難しかったので、途中からルートの音だけ探して
適当に弾いてごまかした記憶があります。ギターをかじったり、ピアノを
かじったりいろいろとやってきましたが未だにコードネームも譜面も
まともに読めないのです。何事につけ中途半端な性分であります。


1曲目、椎名林檎は「スピカ」をカバー。この曲はあんまり知られて
いないので(『花鳥風月』というB面コレクションで聞けます)、
まるで彼女のオリジナルのように聞こえます。せつないメロディーと
ですます調の歌詞は彼女にとってやりやすかったろうな。悪くないです。


2曲目、羅針盤による「ロビンソン」。オリジナルのあの青くて切ない
感じはありませんが、山本精一の微熱中年なボーカルが、良いです。
サウンドプロダクションの秀逸さは言うに及ばず。3曲目、ユーミン
カバーですが、割愛(苦笑)。この曲は冨田恵一プロデュースです。


4曲目、ゲントウキ、5曲目、中村一義、まあ悪くないんですが、その
次の、ぱぱぼっくす空も飛べるはず」が非常にイイです。これは
オリジナルも凄く良いんだけど、このカバーは清清しくていいですね。
駆け足で行くと、奥田民生「うめぼし」、つじあやの「猫になりたい」、
小島真由美「夏の魔物」は、どれも素晴らしいです。なぜかポリシクスが
「チェリー」をカバーしているのだけど、この不器用な感じはダメでしょ。


『HAPPY END PARADE tribute to はっぴいえんど』の好きな曲を挙げると、
ディスク1は、スピッツ「12月の雨の日」(メロディーの良さが際立つ)、くるり「あやか市の動物園」
(この曲のファンクアレンジはホント秀逸)、空気公団「いらいら」(いつも
力抜けてる感じがよい)、つじあやの暗闇坂むささび変化」(たまたま録ったら
よかった感が計算されていたとしてもよい)です。ディスク2は、永積タカシ
「春らんまん」(鼻の詰まったような屈託のある情けない声がいい)、山下
久美子「相合傘」(佐藤博のキーボードカッコイイ)、キセル細野晴臣
「しんしんしん」(音が描く世界がひたすら気持ち良い・良い曲ですね)。


そして『FOLK SONGS 2』をなぜ借りたかというと、もちろん松浦亜弥
ひこうき雲」目当てです(苦笑)。荒井由実のオリジナルを聴いたことが
ある方はご承知の通り、この曲は(そしてアルバム『ひこうき雲』も)
とんでもない空気感を湛えた稀作ですが、乱暴に言えば、あの‘蒼さ’を
松浦亜弥がどんな感じで歌ってるのか、を聴いてみたかったのです。でも
「やっぱ別に夭折願望なんてないんだなー(苦笑)そうだよなー」という。
誰であってもこの曲をカバーするのは、難しすぎるのかもしれません。残念。
悪くないですけど、オリジナルの良さを引き立てるにとどまっている感じです。
ひこうき雲」をカバーしてユーミン直々に誉められたという話を耳にしていたので、
どれほどのものかと、期待していたのですが、逆にキロロの「長い間」、9分
強にわたる「さとうきび畑」の屈託のない爽やかな感じは特筆に値しますね。
神田川」も歌ってるんだけど、これは…笑っちゃってもよいのかな?という
感じ。いや、松浦亜弥が悪いんじゃないですけど。「神田川」はねえ……。


このアルバムは、全ナイアガラーの怒りを買いそうな「夢で逢えたら」の
駄カバー(「夢で逢えたら」の駄カバーなんて、山ほどあるんだろうけど)
含め、とくに聴くべきものはないのですが、中澤裕子の歌のうまさはよく
分かりました。「木綿のハンカチーフ」での、惜しむべきはチープなアレンジ
仕事ですが、太田裕美のオリジナルを咀嚼した彼女なりの歌唱はなかなか
聴かせます。五輪真弓の「恋人よ」は、傾向として美空ひばりに近い解釈ですね。
美空ひばりを持ち出すのはオオゲサだけど、いわゆる「情念系」な唄になってます。
演歌とか歌わされちゃってるから、しょうがないんだろうな、と思いますが。