吾妻ひでお / 失踪日記 (イースト・プレス)



締め切りのプレッシャーから逃れるために、ホームレスを経て、配管工になったり、アル中になったりする漫画家のエッセイまんが。しかし、吾妻氏の奥さんは大変だったろうなあ・・・。夫が数年おきに出奔して、しかもホームレス生活を送っているのである。一般的に考えて、なかなか耐えられないだろう、こんな生活。愛というか、なんというか、それを超えた得体の知れないことばにできないパワーも、コマとコマの間から感じられるのだ。


わたしは友人のまろんid:marron555)さんに吾妻作品を幾つか貸していただいたり、絵本のような画集を見せていただいたりしてわかったが、実に吾妻氏の女性キャラの脚は手塚マンガの描線で、なかにはウランちゃんクリソツしているのもある。本作を通じて、氏が石森章太郎『まんが家入門』を読んで漫画家を志したと知り、非常に合点のいく思いがした。手塚直系なのである(山本直樹氏もどこかの雑誌の手塚特集でそんなことをおっしゃっていたような気がするが記憶が定かでない)。


ストーリーは、「読んで」という感じ。おもしろいから。 解説は同書の巻末(吾妻×とり・みき対談)を読んで、という感じ。 続編も予定されているらしいが、実に楽しみである。


評価:★★★★★(傑作)