tronika / sketch show



CTCR-40156 (FEB., 26, 2003)
daisyworld/cutting edge/avex inc.


最初に聴いたときの印象をひとことで言えば、明るいポップス、
暖かいフォークだな、という感じ。細野さんか、惣一朗伯父が、
エレクトロニカな人達の本質はシンガーソングライターだ、と
言ってたような気がするけど、ホントにそんな感じがしました。
ギターにPCがとってかわった感じ。思っていたよりも、明るいし、
押しつけがましくない感じというのもシンガーソングライター的
かなあ。細野さんこんな感じでそろそろソロ作ってくれないかしら(笑)
というのが正直な感想。個人的に高橋幸宏の声があまり好きでない
のです。今回はわりと自然な感じで良いかな、と思ったけど。
フォークってのはジャンルとしてのフォークというよりは、むしろ
内省的な響き(地味だけど楽しい感じ)がフォークかな、と。


1.ekot


Bメロ(?)で、薄く小山田くんが歌っているような気がします。
非常に静かに心地よいポップスで良い感じ。1曲目を聴いた
時点で、エレクトロニカ風味のポップスなんだなあというのが
良くわかりました。実際問題、エレクトロニカっていうジャンルの
定義もかなりあいまいというか、どうでもいいっちゃどうでもいいん
ですけど。ムームなんて、すごくまっとうなポップスだと思うし。


2.chronograph


イントロのオルガンっぽい音色とコード進行は、バロックぽいですね。
歌詞は良く聞こえてくるんだけど、どうでもいいか(笑)。1'47''前後で
あードボルザークっぽいなーと感じました。コード感が「遠き山に日は
落ちて」(堀内敬三作詞、「新世界」より)っぽいんだよね。ドボルザーク
「新世界」というのは、アメリカのことなんですが(笑)。自動車かあるいは
コンピュータかなんかのコマーシャルに使われそうな感じのキャッチーな
ミニマル風ポップスです。


3.snow #1


こういう音を聴くと、個人的にはスウィング・スロウを
思い出したりもするのですが、特に特筆することもない小品。
しかしこういうサウンドはどうやって作るのだろうか?(笑)


4.night talker


イントロの音が刺激的で、お年寄りにステレオで聴かせたら、スピーカーが
壊れたのではないかとびっくりすると思います(笑)。なんとなくYMO
雰囲気がやはり音にも漂う我らがスケッチ・ショウですが、ここでもそんな
感じがあるよなあ。


5.snow #2


これはchronographの美味しい根音(オルガンのフレーズ)を使いまわした小品。
こういうのはインターリュードと言えるのかなあ。まあでもこのコード進行が
かなり気分なんだろうな、あるいはテーマみたいなもんなんだろうな、という
のが感じられなくもありません。


6.ohotzka


この曲のみならずミニマルっぽい感じがどうしてもYMOファンとしては
『TECHNODELIC』との共通点を探さずにはいられない(苦笑)のですが、
徳武弘文のミニマルなアコギの音に乗っかって2'15''頃から小山田くんの
電気バグパイプの音(サイケ期のビートルズがテープ操作でつくったような音。
まろんさん曰く「ベイビーユーアーリッチマン」とか「イッツオンリーノーザン
ソング」の感じらしい)が入ってくるのですが、ここから突如ベースラインが
「Pure Jam」になるのだな。殊更に言うまでもないけど、YMOファンにはやはり
嬉しく思える1曲かもしれません。


7.chronograph -cornelius remix-


コーネリアスこと小山田圭吾によるリミックス。音ネタ的なものは『POINT』の
素材なのかな。『FANTASMA』も多少入ってるか。決して悪くないと思います。
歌を尊重したリミックスだし、ボーカルも良く聞こえます。もっとバリバリに
壊したりしてもおもしろかったとは思うけど、そういう気分じゃなかったのかな。


8.snow #3


非常にトリップ感のある音。イーハトーヴにでも行けるかしらん(笑)。
でもすぐ終わっちゃいます。なにかある瞬間の心象風景を切り取ったような感じ。


9.ekot -cornelius remix-


これまたコーネリアスのリミックス。音ネタ的なものはやはり『POINT』だなあ。
引き算されたリミックスがボーカルトラックの良さを引き立たせます。これは
ホントにフォークっていうか、そんな感じがするなあ。いいリミックスだと思います。


まとめ:内省的なミニマル風ポップス(エレクトロニカ味)。
暗いけどちょっと楽しい感じ。絶賛するほどじゃないけど好き。