20世紀ノスタルジア鑑賞会

正午過ぎに家を出て、uniさん宅へ向かう。今日は待ちに待った「20世紀
ノスタルジア」鑑賞会の日(笑)。この映画について思う存分語り合おう
という主旨で提案してみたら無事氏に受け入れられたのでなにより愉しみ
だった。乗り換えが面倒くさいので、新宿まで出て京王線に乗る。ぼくは
あまりなじみのない路線だ。ほんとうに数えるくらいしか利用したことが
ない。車窓の風景はなんとも言えずフラットな感じ。中央線沿線だときちんと
生活感のある薄汚さがあるし、渋谷から出ている、田園都市線であれば、もっと
とりとめのつかない感じだが、どれも東京郊外感では共通する侘しさがある。
特にどの路線も多摩川を越えたあたりからその独特の表情を見せ始めるのだ。
京王線はいかにも山切り開きました、という感じだ。山切り開き感は、中央線の
国立〜立川間あたりからも思う存分堪能できるが、こちらはちと年輪が少ない
感じで乱暴に括ればニュータウン風ということになるだろうか。


聖蹟桜ヶ丘駅で下車。uniさんに駅名の由来を聞く。なんでもはるけき明治の
御世、すめらみこと御自らウサギ狩りに赴かれたそうでそれが由来だという。
日本で「聖蹟」などというと天皇の墳墓くらいしかイメージが湧かないのだが
道理で道理で。まあ、開発業者かあるいは京王電鉄ががイメージアップの為に
つけた名前でもあるのだろうが。しかし天皇がウサギ狩りなんて聞くとずいぶん
牧歌的だなあと思う。今上天皇とは比べるもなく絶大なる現人神として君臨して
いたのだろうが、ウサギ狩りとは…。しかし武蔵野に限らず天皇にまつわる名所
名跡というのは日本各地にあるのだろうか、きっとあるのだろうななどと思う。


uni邸で、まずは「20世紀…」本篇を観ながら1時間半きっちり喋りつづける。
その後もトイレ休憩(笑)など挟みながら約4時間喋った。この模様は、氏の
サイトで追々テキストになって公開されていく予定なので楽しみに待たれたい。
要所だけ押さえれば、やはり基本的に広末涼子が主演しているとはいえども
これは完全に原将人の個人映画であるとか、「20世紀ノスタルジア」という映画
タイトルの確信犯的なネーミングだとか、これはポウセから見たチュンセの映画
なのだとか、まあ色々と細かな点まで喋くりあった。これを機会に未見の方は、まず
ヴィデオかDVDで「20世紀…」をご覧になった後、uniさんのサイトを楽しみにして
頂ければ嬉しい限りである。氏の手によって大きく編集されると思うので、小生も
どんなかたちになって公開されるのか大変楽しみだ。


鑑賞会が終わってからは持参した音源をかけた。戦前の歌謡曲、浅草オペラもの、
あとはuniさんがご存知ないというので主に細野さんの'70年代の音源。氏はティン・
パン・アレー「キャラメル・ママ」収録の「チョッパーズ・ブギ」に殊に感心を
示されていた。後藤次利のやりすぎビートがのたうちまくるアレである。アレアレ。
uniさんは自身のルーツ的なアメリカン・ロック。すなわちミスター・ビッグ!
ベーシストがフュージョン畑の人であるからか、一筋縄のハードロックではなく
サウンドの多様性がなかなかおもしろかった。全員がコンポーザーバンドというのは
やはり興味深いものだ。ディープ・パープルの「バーン」カヴァーがなかなか良い
感じだった。他にもジャーマン・メタルなど。ハロプロ関係のものも幾つか聴かせて
頂いたのだが、ミニモニのキッチュというかガジェットというか俗悪というかデタラメ
というか、ある種つきぬけた楽曲が印象に残った。まあモンドといえば、モンドだ。
蛇足までに、おそるべきは藤本美貴サウンドの安っぽさであったということも付け
加えておこう。アイドルポップスはその資本投下の度合いが違うことなく(?)サウンド
現れるという点でポップスの中でも露骨にキワモノ感が漂うものであるということが
分かった。これだけ商品的な音楽を愉しめるか否かは一重に聴く者の耳の視点(笑)に
かかっていると言えるだろう。むろん無理してまで聴くものではないと思うが(苦笑)。