ふちがみとふなと@武蔵小山アゲイン



石井さんにお誘いいただいて5年ぶりくらいに観た。彼らの演奏はかつて一度NHK-FMライブビート」の公開録音で観てしまい(2003年の秋くらいと記憶している)、その時「これは良過ぎる!これは今後観に行かないようにしよう」と決意したのだ。当時は音楽に極端に「驚き」を求めていた。「良い」ものがもつ安定性や、渋みみたいなものに金子を払う気分ではなかったのだ。あとは「うた」からこころがはなれていたということもある。いまだに「うた」には惹かれない日々なのだが。


ふちがみとふなとはボーカルふちがみさんとダブルベースふなとさんのデュオで京都を拠点に活動している。地に足ついた古き良きNHKみんなのうた」的センスを含有しつつ、非常に洗練されたシンガーソングライターチームで、今日的なサウンド・テクスチュア(っていうとアレなんだけど、聴いていない人は聴いてくれ)をボーカル、ピアニカ、笛などとダブルベースだけで表現してしまう。もうほとんど脱帽であって、おまけにこちらはどんどん脱いでパンツ一丁になっても良いくらいの気にさせられる(酒も飲んでいないのにだ。まいるねこりゃ)。こんなふたり楽団は滅多に観られるものではない。


サウンドへの意識、ソングライティングのセンス、それを超越してバリバリ歌ものなのだ。また歌詞が素晴らしいんだ。しかし、どうしてもなまで観てほしい。観客も小学生から壮年までバラエティ豊かだから、きっとおもしろい。彼らの放つハイセンスで家庭的なバイブにノックアウトされてとりこになってしまうかもしれないよ。