『おくりびと』アカデミー賞外国語映画賞受賞に思う



朝、ラジオでNHK総合テレビの音声を聞いていたら、本木雅弘が受賞コメントを述べていた。「早く受賞に沸いている日本に帰りたい」というようなニュアンスで、ユニークだなあと感じた。アカデミー賞の中では、外国語映画賞は歴史も浅いし、現地ではたいして報じられていないのかもしれない。露骨に扱いが違うのか、そのあたりよく分からない。あるいはいろいろなメディアにコメントを求められすぎて疲れていてつい本音が漏れたのか。いずれにしても町山智浩TBSラジオ「コラムの花道」に出演し「(アカデミー賞評議員5500人に対しての)ロビー活動に成功した結果」と切っていたが、『おくりびと』の映画そのものよりも、アカデミー賞について語るなら、アカデミー賞を"受賞させる”しくみについて調べたり、書いたりしたほうがよほど面白そうだ。おそらくアカデミー賞受賞のために活動する映画界ウラの実力者(笑)や、コンサルティング会社、飛び交う札束etcetcという生臭い話になるのだろうが。


しかし、余貴美子広末涼子が並んでいる写真を観て『20世紀ノスタルジア』を思い出すひとは如何ほどかと思った。そして広末と滝田監督といえば、東野圭吾原作の『秘密』だ。『秘密』は原作が奇妙な作品だった(東野圭吾の小説はこれしか読んだことがない)。映画をなぜか劇場で観たのだが、広末の「口でしてあげよっか」というセリフが印象的だったことしか今は思い出せない(ひどい)。滝田洋二郎監督はポルノ映画出身の地味な印象があって、作品も『秘密』以外特に観たことがない。何か観るべき作品はあるのだろうか。


菊地成孔が早速『おくりびと』のタイトルに茶々を入れていた日記に苦笑したが、確かに突っ込みどころではある。ただし英題が『Departures』(逝きし人々、というようなニュアンスか)らしいから、外国人にとっては余程の日本映画ファン(しかも日本語に興味あるひと)以外には関心がないことだろう。菊地の日記も日本語がわかる日本人がほとんど読者だから関係なさそうだが。


(敬称略)