スタンリー・キューブリック監督 / 現金に体を張れ

現金に体を張れ [MGMライオン・キャンペーン] [DVD]


観て思ったのは...女性嫌悪かな。登場人物の中に女性は2人しか出てこないんですが、金庫破りの一味に加わった臆病な男を唆す俗物そのものといったような女(金と男にしか興味がない)と、絵に描いたような従順な女(5年間服役していた男を一途に待ち続けていたという設定)。なんかこの書割そのままのような女性のキャラクター像にはキューブリックの悪意が感じられなくもない。
1956年(昭和31年)公開の映画なのですが、当時の観客はこの女性たちの描かれ方にアウト・オブ・デートだなあ、と感じたかどうか、興味があります。キューブリックって確かゲイ疑惑があったはずなんだけれども、こういう女性像を描けるのって、ちょっとゲイ的なセンスかもしれない。人間を突き放す視線は、男優たちにも向けられているのですが、そう感じた、ということです。しかし冷たい視線だよなあ。黒澤明の『生きる』を観たときも似たような感じを覚えたのを思い出しました。